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芥川と柳ジョージが坂道で

Category : 1970年代/音楽
音楽や小説が心の中でシーンと結びついていて、あるシーンに出会うとそれらが決まって思い出されるってことがあります。

昨日は、久しぶりの休日。先週末はB-1グランプリ出展で姫路へ遠征したりして、けっこー老骨に鞭打ったんで、ゆっくり骨休めでもすればいいものを、あんまりいいお天気だったので、太平洋の水平線が望めるYスカイラインにジョギングに出かけました。

休みの日の朝は10kmくらいは走るようにしているのですが、現在の職場では勤務シフトで休みが平日になることが多く、みんなが出勤・登校している時間帯に、のんびりジョギングするのは何か後ろめたいというか、知り合いに「きょうは休み?」なんて訊かれたりするのもメンドクサイから、なるべく人々が通らない農道や裏道を選んで走っています。それでもちょくちょく出合ってしまうので、まず知り合いに遭遇することのない必殺コースとして最近重宝するようになったのが、Yスカイラインです。

ここは、80年代の人気クルマ漫画『シャコタンブギ』で公道バトルの舞台として登場する道路で、連載当時から四半世紀を経た現在でも「聖地」として訪れるファンがいるようです。でも生活道路ではなく観光地化に失敗した地域を通る観光道路のYスカイラインにクルマの影はまばらです(ここまで書くのならイニシャルじゃなくちゃんと名前を出せよ、と自分にツッコミたくなりますが、たとえバレバレでも自分の周辺は地名も含め匿名でやるというというのを原則にしてますので)。

自宅からクルマで15分くらい走り、スカイライン内の武市半平太像が建っている広場まで行きます。昨年の『龍馬伝』ブームの時でさえ、蚊帳の外状態で一人取り残され、訪れる人もわずかだった武市半平太像。昨日も着いたとき広場には誰一人いません。時折トイレ休憩のクルマか、コーナーを攻めに来るバイク乗りが立ち寄るくらい。ここにクルマを置いて、6kmほど東に走り折り返してくるのがジョギングコースです。折り返し場所のすぐ手前には、朝青龍、琴奨菊、横峯さくら等の出身校として有名なM高校への入口があります。でもやっぱりクルマもめったに通りません。

リアス式海岸の海岸線に沿った曲がりくねった山道で、平坦な部分がほとんどなく、道はしつこいくらいアップダウンを繰り返します。これがキツイ。行きに長い坂を下っていると「帰りはここを登らないかんのか」と思って気が重くなったりします。

ここからやっと本題。

そんなときによく思い出すのが、芥川龍之介の『トロッコ』という短編です。中学1年生の国語教科書で読んだだけで45年以上読み返したことはなかったのですが、主人公の少年がトロッコを押していて、登り坂があるとその分だけ下り坂があるんだと思ったりする部分を、坂道だらけのYスカイランを走るようになって、頻繁に思い出すようになりました。


蜘蛛の糸


細部はほとんど覚えていなかったので読み返してみようと、先日ブックオフでついで買いしてきました。昭和以前の名作古典といわれる本を買ったのは十何年ぶりでしょうか。
少年の頃観た映画や読んだ小説を、大人になってから鑑賞しなおすと「えっ、こんな話やったが」と、ずっと抱いてきた印象との違いにちょっと戸惑うことがあります。
この『トロッコ』も、トロッコを夢中で押しているうちに思いがけなく遠いところまで来てしまい、不安に駆られながら家路を急ぐというのがストーリーではありますが、少年期の淡い思い出を描いたそれなりに明るい雰囲気の作品というイメージをずっと持ち続けてきました。
ところが、45年ぶりに読んでみると、かなり暗めの作品でした。大人になった主人公が、少年の日に体験したあの恐怖と不安の気持ちと現在の境遇が同じように思えると述懐するのですが、そこには後年自死を選ぶ芥川の鬱屈がすでに意識を覆い始めているように感じられます。そんなこと今更持ち出すまでもない文学史の常識なのでしょうが、私には意外でした。まあ、「坂」しか覚えてなかった底の浅い接し方なもんで当然かも。


Yスカイラインで思い出すもうひとつの定番は、柳ジョージ&レイニーウッドの『青い目のステラ1962年夏』。

柳ジョージ30th


ジョギングをしていると道路のすぐ脇から100m以上の断崖になっている箇所が時折現れ、そこからは太平洋の眺望が広がります。水平線までずっと見渡せて、きらきら陽光を反射する海にぽつりぽつり船影が見えると、坂道で苦しんでいても、

 ♪沖を通る貨物船眺め テネシーワルツ歌おう
  うまいもんさ あんたに教わった
  ちょっといかしたステップ

なんてフレーズをヒイハア言いながらくちずさんでしまいますねえ。
この曲と『フェンスの向こうのアメリカ』の2曲は、本牧米軍ハウス(横浜海兵住宅地区)近辺で少年期を過ごした男の郷愁をテーマにした私小説的な内容の歌詞が秀逸で、十代最後の二年間を横浜で暮らした私自身の思い出と相俟って、もうたまらなく好きな曲です。
ほかにも、『さらばミシシッピー』『酔って候』『コインランドリー・ブルース』など、柳ジョージ&レイニーウッドには私のカラオケ愛唱曲が多いですね。

残念ながら、柳ジョージ氏は本年10月10日に永眠してしまいました。死因は過度の飲酒が原因とみられる腎不全。んー、ブルースな死に方やなあ。


それと、あと一カ月ちょっとで大掃除の時期がやってきますが、寒い季節に掃除をすると、たぶん、幸田文の『あとみよそわか』という随筆を思い出して、無性に読みたくなったりするはずです。

それでどうしたといわれても困りますけど、そんなふうに音楽や文章を思い出すのは楽しいんですよねえ。


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Comment

教科書で読んだから

トロッコは教科書で読んだような記憶があります。

だから、印象がかなりちがってるのかなあ

と思ってましたが、どうなんでしょうか?

読書感想文を書く時には、

O・ヘンリーと芥川が定番だった私なのですが・・・

記憶がおぼろになってます。

Re: 教科書で読んだから

harharさん

思うに、
教科書には、大人になってからの部分はカットされた
短縮版が掲載されていたのでしょう。

大人になっても、先の見えない不安感にさいなまれている、なんて話、
将来ある中学生に読ませるにはキツすぎますもんね。
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